側方偏位(そくほうへんい)


側方偏位(そくほうへんい)とは?

側方偏位とは、上下の歯列の中心線がずれていたり、奥歯の噛み合わせが左右で異なる状態のことです。上下の歯を噛み合わせたときに、下あごが左右どちらかにずれている状態を指します。正面から見ると、下あごや下の前歯が顔の中心から左右どちらかへ偏って見えることがあります。


弊害
  • 噛み合わせの左右バランスが崩れ、咀嚼機能が低下する
  • 顎関節への偏った負荷により顎関節症になりやすい
  • 顔の歪みや左右非対称が顕著になることがある
  • 歯の磨耗が偏る

原因
  • 遺伝的な顎骨の左右非対称
  • 片側だけで噛む癖(偏咀嚼)
  • 乳歯の早期脱落による歯列の乱れ
  • 頬杖や横向き寝などの生活習慣

治療
  • ワイヤー矯正(マルチブラケット装置)
  • マウスピース矯正
  • 子どもの場合は上顎拡大装置や機能的矯正装置
  • 骨格性の強い偏位は外科矯正(上下顎骨切り術)が必要なこともある
  • 偏咀嚼などの悪習慣の改善も並行して行う

症例

【症例】17歳女性/受け口が気になる

ハイアングル・下顎骨の左方偏位を伴う骨格性下顎前突(受け口)のケースです。上下顎の小臼歯を抜歯し、ハーフリンガル装置とアンカースクリューを用いて下顎歯列弓の右方移動と正中の改善を行いました。

主訴 受け口が気になる
年齢・性別 17歳 / 女性
治療方針 ハイアングル・下顎骨左方偏位を伴う骨格性下顎前突の改善。
上顎右側第二小臼歯・上顎左側第一小臼歯・下顎左右第一小臼歯を抜歯し、アンカースクリューで下顎歯列弓を遠心移動
抜歯部位 上顎右側第二小臼歯、上顎左側第一小臼歯、下顎左右第一小臼歯
使用装置 ハーフリンガル(上裏側、下表側)、アンカースクリュー 1本
治療期間 2年6か月
リテーナー 上下リンガルリテーナー、上ラップアラウンドリテーナー

治療前

治療中

治療後

リスク及び副作用

矯正治療では以下のリスクや副作用が考えられます。

  • 歯根吸収(歯の根が短くなる症状)
  • 歯肉退縮(歯茎が下がる症状)
  • アンキローシス(歯と歯を支える骨が癒着し歯が動かなくなる。)
  • 歯髄壊死(歯の神経が失活してしまう状態)
  • 顎関節症(顎の痛み)

費用(すべて税別)

検査・診断料 35,000円

装置料 ハーフリンガル 850,000円、アンカースクリュー 20,000円×1本

調整料 6,000円 / 月

保定装置料 55,000円


よくある質問
Q. 顔の歪みは矯正で改善できますか?

A. 歯並びと噛み合わせのバランスが整うことで、顔の歪みが軽減する場合があります。骨格的な非対称が強い場合は外科矯正が必要になることがあります。

Q. 側方偏位と顎関節症は関係がありますか?

A. 噛み合わせの左右アンバランスが顎関節への偏った負担につながることがあります。矯正治療で噛み合わせを整えることで症状が改善するケースがあります。

Q. 片側だけで噛む癖は治療後に直りますか?

A. 矯正で噛み合わせが整っても、長年の癖が残ることがあります。意識的に両側で噛む練習や、必要に応じてMFTを併用することをおすすめします。