MFT(口腔筋機能療法)とは?舌のトレーニング方法と毎日続けるコツ

MFT(口腔筋機能療法) とは、舌・唇・頬など口のまわりの筋肉を正しく動かすトレーニングです。

歯並びは、歯そのものだけでなく「口のまわりの筋肉の使い方」からも影響を受けます。そのため矯正歯科を中心に多くの歯科医院では、矯正治療で整えた歯並びを長く保つこと、そして正しい呼吸・咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ=飲み込み)の習慣を身につけることを目的に、MFTを取り入れています。

この記事では、ご自宅で今日から始められるMFTの基本を、順を追ってご紹介します。

「食べる」という動作には5つの段階がある

私たちが食べ物を口に入れてから胃に届くまでには、実は5つの段階があります。嚥下(飲み込み)の観点では、MFTはこのうち 「準備期」と「口腔期」 を整えることを目的としています。

① 先行期(せんこうき)
食べ物を見て、においを嗅いで「食べる準備」をする段階。唾液が出はじめます。

② 準備期(じゅんびき) ← MFTが関わる段階
唇を閉じてよく噛み、食べ物をまとめる(食塊=しょっかい をつくる)段階。

③ 口腔期(こうくうき) ← MFTが関わる段階
舌で食塊をまとめ、舌を上あごに押しつけながら喉のほうへ送り込む段階。

④ 咽頭期(いんとうき)・⑤ 食道期(しょくどうき)
ここから先は自分の意思では動かせません。嚥下反射と食道の蠕動(ぜんどう)運動によって、自動的に胃へと送られていきます。

つまりMFTは、「自分の意思でコントロールできる部分」を正しく使えるようにするトレーニングなのです。

MFTで意識したい4つのポイント

MFTを正しく行うために、次の4つを意識しましょう。

  1. 正しい姿勢 — 頭をまっすぐに、背筋を伸ばして
  2. 正しい舌の位置 — 舌先を上あごの「スポット」(上の前歯の少し後ろにある、わずかに盛り上がった部分)へ
  3. 口唇閉鎖力 — 力まずに、唇を閉じ続けられる状態をつくる
  4. 表情筋の働き — 頬・口まわりの筋肉もしっかり使う

まずは正しい姿勢から

姿勢が崩れると口呼吸になりやすく、舌の位置も下がってしまいます。トレーニングの前に、まず姿勢を整えることが大切です。

✓ 頭をまっすぐに保つ
あごを軽く引き、耳・肩・腰が一直線になるイメージで。

✓ 肩の力を抜いて背筋を伸ばす
猫背にならないよう、椅子には深く腰かけましょう。

✓ 足の裏を床につける
足がブラブラしていると体が不安定になります。お子さまは足台を使いましょう。

毎日守りたい「三大原則」

MFTには、トレーニングの時間だけでなく 日常生活の中で常に意識してほしい「三大原則」 があります。

① 舌は上あごに
舌先を上あごの「スポット」に置き、舌全体を上あごに吸着させましょう。これが本来の、安静時の正しい舌の位置です。

② 唇を閉じる(口唇閉鎖)
力を入れず、リラックスした状態で自然に閉じます。気づいたときに口が開いていたら、そっと閉じ直しましょう。

③ 歯は離す
食事や会話のとき以外、リラックスしている状態では上下の歯を軽く離しておきましょう。無意識に歯を接触させ続ける癖は「TCH(歯列接触癖)」と呼ばれ、歯やあごに負担がかかる原因になります。

この3つが「意識しなくても自然にできている」状態になることが、MFTの最終的なゴールです。

舌のトレーニング

舌は、前後・上下・左右に自由に動かせる筋肉のかたまり(筋性器官)です。食べる・飲み込む・話すときに大きな役割を担っています。

ポッピング(Popping)

目的
舌全体を上あごに保持する力をつけ、正しい安静時の舌の位置を身につける。

やり方

  1. 舌全体を上あごに吸着させる(舌先はスポットへ)
  2. 舌を勢いよく離して「ポン!」と音を出す
  3. 10回 × 2〜3セット

ポイント

  • 舌先だけでなく、舌全体を吸着させる
  • 下あごは動かさない
  • はっきり音が出るように行う

タングドラッグ(Tongue Drag)

目的
舌の挙上と後方への動きを練習し、正しい嚥下運動の準備をする。

やり方

  1. 舌先をスポットにつける
  2. 舌を上あごに押しつける
  3. 上あごから離さないように、ゆっくり後方へ滑らせる
  4. 5〜10回繰り返す

ポイント

  • 舌が上あごから離れないようにする
  • ゆっくり丁寧に
  • 首やあごに力を入れない

口まわりの筋肉のトレーニング:あいうべ体操

「あいうべ体操」は、内科医の今井一彰先生が考案された、口まわりの筋肉全体を大きく動かすシンプルなトレーニングです。口を開けたままになりがちな方の、鼻呼吸への切り替えを助けます。

動作やり方
「あ—」口を大きく縦に開く
「い—」口を横に大きく広げる
「う—」唇を前に強く突き出す
「べ—」舌をできるだけ前に出して下へ伸ばす

この4動作で1セット。1日30セット程度が目安です(朝・昼・晩に10セットずつなど、分けて行っても構いません)。声は出しても出さなくても大丈夫です。

あいうべ体操で動かす筋肉

  • 口輪筋(口のまわりの筋肉)
  • 頬筋(ほほの筋肉)
  • 舌筋(舌の筋肉)

まとめ|今日からできるMFT 5つのステップ

MFTは一度やれば終わりではなく、毎日の習慣として続けることが何より大切です。

  1. 4つのポイントを意識する — 姿勢・舌の位置・口唇閉鎖力・表情筋
  2. 正しい姿勢をつくる — 頭まっすぐ/背筋を伸ばす/足の裏を床につける
  3. 三大原則を守る — 舌は上あご/唇を閉じる/歯は離す
  4. 舌のトレーニングを行う — ポッピング・タングドラッグを毎日
  5. あいうべ体操を習慣にする — 1日30セットを目安に

継続は力なり。無理なく、少しずつ生活に取り入れていきましょう。

ご注意ください

花粉症・アレルギー性鼻炎・扁桃肥大・アデノイド肥大などが原因で、鼻がつまって口呼吸になっている場合があります。そのようなときは耳鼻咽喉科との連携が必要になることがありますので、無理に鼻呼吸をすすめないでください。

トレーニングの方法や続け方でご不明な点がありましたら、いつでも担当スタッフにお気軽にお声がけください。一人ひとりのお口の状態に合わせて、無理のないメニューをご提案します。

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